子どもを取り巻く環境は、驚くほどの速さで変化しています。
一昔前のゲームと今のゲームを比べれば、その違いは一目瞭然。
今ではまるで自分がバーチャル空間で動いているような感覚すら得られます。
では、実際に身体を使って運動しなくてもよいのでしょうか?
答えは「NO」です。
なぜなら、子どもは身体で学ぶから。
この記事では、その理由について考えていきます。
本当に大事なことは何か?

『星の王子さま』には、こんな有名な言葉があります。
「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」
子どもの運動指導をするとき、私が常に問いかけているのは、
「本当に大事なことは何か? 本質は何か?」ということです。
インターネットを使えばあらゆる知識が得られ、
バーチャルな空間で“まるでその場にいるかのような体験”も可能になりました。
しかし、それが人間にとって本当に大切なことなのでしょうか。
身体を通して育まれる学び

子どもが認知能力を発達させていくプロセスには順序があります。
- まず 身体を使った経験 を通して物事を理解する
- 次に 見たり聞いたりした刺激 によって脳が発達する
- そして最後に 言葉で理解し、思考につながる
このような発達の順序性を、多くの先人たちが示してきました。
たとえば、跳び箱の跳び方をネットで検索するだけでは不十分です。
YouTubeで逆上がりの動画を見ても、
実際に身体を動かして体験しなければ感覚は身につきません。
身体の感覚が伴わない“言葉としての知識”だけでは、
本当の理解にはつながらず、のちにさまざまな問題を生じさせる可能性すらあるのです。
跳び箱の開脚跳びの例
跳び箱の開脚跳び教え方で考えると以下のようになります。
1.跳び箱に跨った状態から後ろに跳び箱を押すようにして降りる。
2.「こんな感じだよ」という手本を見せる。
3.肩の重さを感じながら着いた手よりも肩を前に出すように説明する。
鉄棒の逆上がりの例
鉄棒の逆上がりの教え方で考えると以下のようになります。
1.肘を曲げてぶら下がった状態になり、膝で鉄棒に触る。
2.肘が伸びた状態と、曲げた状態の違いを見せる。
3.肘を曲げた状態のまま、鉄棒に身体を引き付けるように説明する。
子どもの身体活動の本質を探して

実際に身体で感じ、リアルを見たり聞いたりして理解し、
言葉で学び考えることが大事なのです。
「子どもの身体活動の本質とは何だろう?」
この目に見えない“いちばんたいせつなこと”を大切にしながら、
私はこれからも子どもたちと向き合い続けたいと思います😊