知性とは、知識の集積ではなく、
関係を見抜き、経験と感情、思考と直感をつなぎ合わせる力です。
知性が深まると、人は新しい組み合わせや視点を見いだせるようになります。
指導者としての知性は、創造性につながる重要な力です✨
伝え方を深める
知識をどのように伝えるか。
どれほど深い意味を持った説明ができるか。
この探究を続けることこそが、指導者としての知性を磨くことにつながります✨
相手に伝わりやすい説明の仕方を身につけることは、
子どもが知性的・能動的に動く力を育む上で欠かせません。
動き・音・言葉でイメージを喚起するような説明を意識し、
子どもの脳を刺激するように工夫していきましょう🧠
指導者の知性が、子どもの知性を呼び覚ますのです。
そのための具体的なポイントを見ていきましょう✅

1.目的を理解させる
「何のためにそれをやるのか」
目的を理解させる説明を心がけましょう。
子どもが指示どおりに受け身で動くのではなく、
自ら目的をもって能動的に動けることが大切です。
✅「一番背が高くなるように座りましょう。姿勢が良くなるよ。」
✅「なるべく人のいない広い場所に走ろう。広く見る練習です。」
✅「拍手がパンパンッと鳴ったら立ちましょう。パンッの時は立たないでね。音を聴き分けるよ。」
このように「目的」を添えることで、子どもたちは自ら考えて動くようになります。
2.相手の立場に同化する
相手の身体に入り込んで同化するようにして、子どもの立場で説明してみましょう。
そのほうが意図が伝わりやすく、理解も早くなります。
✅「目の前のフラフープの鏡をのぞき込もう」
✅「この鏡を割らないように置いて、今度は炎のコマに変身させて回すよ」
✅「炎にぶつかったら熱かったね」
など、イメージしやすいものに置き換えて、子どもがその時に置かれている状況に同化して説明します。
また、床に寝転がった仰向けの姿勢などでは
✅「足の下にお友達がいるから離れてあげてね」
✅「頭の上に友達の足があるから気をつけよう」
などと、相手の立場に同化して伝えることで、子どもは理解しやすくなります。

3.動きを見せる
説明の時は、できるだけ多方向・多角度から動きを見せましょう。
移動する場合は方向を変え、寝転がる動きでは体の向きを変える✅
子どもがさまざまな角度から観察できるように意識します。
説明が長くなりすぎないように注意しながら、
何度か見本を見せるようにしましょう😊
時には「一回だけ見本を見せるよ。よく見ててね。」
と集中させるのも有効です。
基本は短く・簡潔に・模倣を促す説明が理想です✨
4.いろいろな感覚を使う
動きを説明する際、いろいろな感覚を使うようにしましょう。
そこでは、体性感覚・視覚・聴覚・言語での情報のバランスを考えましょう✅
特に年齢の低い子どもには、
「こんな感じ」という体性感覚を中心に模倣させる意識を👦
そこに身振り手振り・表情・声色などを加えて説明し、
多感覚的に刺激を与えましょう🧠
年齢や理解度に応じて、言語情報をどこまで入れるかを調整することも大切です。

5.イメージさせる
子どもの頭の中に、イメージが浮かぶように説明しましょう。
✅「このコースは真っすぐにしよう。こっちはヘビコースにして曲げよう。」
✅「この輪っかは蓮の葉っぱにして池に浮かべよう。こっちは亀の甲羅にしようかな。」
などと言ってイメージをさせながら用具を設置します😊
比喩や擬音語・擬態語
(「ニョロニョロ」「トントントンッ」「ピューン!」)を交えると、
子どもの脳がいきいきと動き出します🧠
また、物語形式でイメージさせるのも効果的です。
「ここは夏の海の砂浜。波の音が聞こえます。涼しい風も吹いているね。
その海に浮かぶ船の笛がピーっと鳴ったら、起き上がろう!」
こうした語りは、子どもの内面を想像的な空間へと導きます✨
6.声の調子を変える
ずっと同じ調子の話し方をしていると、
子どもたちの集中力が低下してくる場合があります。
声の出し方に変化を加えることで、
子どもたちは「おや、何だろう?」と意識を向け、集中して聞くようになります。
声のトーンやテンポを変えるだけで、集中力がぐっと高まります。
✅強弱:「大きな声」「囁く声」を意識的に使い分ける
✅高低:低音~高音を場面で変化させる
✅長短:「パッと動こう!」「グーーーッと溜めるように」など、音の長さを工夫する
声そのものが、最高の「教材」になります😊
動かす能力を高める
子どもにわかりやすく指示を出し、うまく動かせるかどうか。
これは、指導者の知性がもっとも試される場面です✨
「言うことを聞かせるため」ではなく、
子どもを知性的、
能動的に動けるようにするための指示の仕方を身につけるましょう✅

1.具体的に細分化する
指示はできるだけ具体的に細分化して出しましょう。
例えば、集まる場所を指示する場合の細分化の仕方は以下のようになります。
✅「線の上」→「赤い線の上」→「ステージ前の赤い線の上」
✅「体育館の中央」→「体育館中央の円」→「体育館中央の白線の円の中」
また、子どもを集める場合、
「ここに集合して!」よりも、
「5数える間に集合します。来た人から先生の前の赤い線に座りましょう。」
の方が、子どもは理解しやすく動きやすいです👦
またその際、「ブレない物事」を指示に使うことを意識しましょう。
⭕️ブレない物事
「 白線の円の中、後ろの壁、ボールを持っている人」
❌ ブレる物事
「この辺、後ろの方、誰か」
2.指示の数を使い分ける
年齢や理解力に応じて、指示の数を変えます。
基本は一指示一行動。
「一人一個ボールを取ってきてください。
早く取った人は危ないから遊ばないように。
ぶつからないように順番で譲り合って取りましょう。
それと、バスケットボールは堅いから取らないでね。」
などと一回でたくさんの指示を出すと、子どもは憶えきれず混乱してしまいます😵
以下のように指示を出した方が子どもたちは理解しやすいです👦
- 「一人一個バレーボールを取ってきてください。」
- 「戻った人はボールをつく練習をしましょう。」
- (全員戻ったら)「体操座りをして脚の下にボールを入れます。」
- 「説明をします。顔と身体を先生の方に向けてください。」
一指示一行動を基本として考えた上で、
年齢や理解力に応じて、
子どもたちが一指示二行動、三行動もできるように導いていけるとよいでしょう✨
3.待っているだけの時間をなくす
「待たせない工夫」が大切です。
ただ待っているだけの無駄な時間が生まれると子どもは退屈して動き始めます。
遊んだりイタズラをしたりし始め、
そこからケガやトラブルのリスクも高まります😵
また、指示をしっかり聞いて素早く行動できる子は、
常に他の子を待っているということになりがちです。
そういう真面目な子たちがいつも待たされているだけの
無駄な時間をつくらないように配慮することも大切です✅
「待たせない工夫」を常に意識しましょう。
そのためには何かしらの活動をさせておくとよいでしょう。
例えば、以下のような指示があります。
✅「ボールをとった人は広い場所でドリブルをしましょう。」
✅「集合した人から拍手でリズムのトレーニングをします。」
また「イメージさせる」で前述した、
用具設置時に「物語を語りながら進める」方法も有効です✨

4.最後の状態を示しておく
最終的にどういう状態になっていればいいかを明確にして子どもたちに伝えましょう。
それがないと好き勝手に遊び回ったりイタズラをしたりする子が出てきて、
叱るということになりがちです💦
最終的に何をしていればよいのかを、
子どもたちが分かるように示しておきましょう👦
例えば、以下のような指示が有効です。
✅「ペアができたら手をつないで座りましょう。」
✅「片付け終わった人はカードを記入しておいてください。」
✅「集合したら壁に背中をつけて座りましょう。」
ゴールを共有することで、混乱や無駄を減らせます✨
5.アクセルとブレーキのバランスをとる
指示には、「動かす言葉(アクセル)」と「抑える言葉(ブレーキ)」があります。
両者のバランスを意識することが大切です。
⤴️アクセル
「どんどんやってみよう!」、「素早くパッと立ち上がろう!」
⤵️ブレーキ
「説明するからまだやらずに待ってね」、「笛がなるまで立ち上がらないでね」
ソワソワしている集団や、落ち着ついていない状態の子どもに、
興奮させるようなアクセルの指示を多様すると、
行動を制御できずにケガや事故につながることが考えられます😵
逆に、やる気に満ちている集団や、落ち着いて集中している子どもに、
抑制させるようなブレーキの指示を多様すると、
ストレスになったり、
やる気や集中力が低下してしまったりする可能性があります💦
集団や子どもの様子に応じて、
興奮系と抑制系の刺激、知性のアクセルワークを使い分けるよう心がけましょう✨
まとめ

知性とは、単に知識を多く持つことではなく、
それを「他者に伝え」「自らの行動へと変換できる力」です。
子どもたちが知性的に動くためには、
まず指導者自身が「伝えること」を磨き続ける必要があります。
わかりやすく、イメージ豊かに、心に届く言葉で伝える。
それが、子どもの中に「考える力」と「感じ取る力」を芽生えさせます🌱
また、知性の根には「共感」があります。
相手の立場に寄り添い、身体や心に同化して説明できることこそ、
真の知的なコミュニケーションといえるでしょう😊
知性は、温かい心とともに働くものです。
その知性が輝くとき、子どもたちは“能動的に学び、創造的に動く”存在へと変わっていきます✨

