私たちが他者と深くつながるためには、まず自分の内側をひらくことが欠かせません。
その入口にあるのが「感受性」という力。
外の環境に心を向け、感じ取ることによって感受性を高めていきましょう✨
見方、見られ方への意識を持つ
子どもに接する時、指導者は感受性を働かせる必要があります。
どのように「子どもを見ているか」、また「どのように見られているか」。
その双方を意識しながら、感性豊かに関わっていきましょう。
1.姿勢を正す
子どもの前に立つ時は、自分の姿勢を整えることを意識します。
すると周囲の先生や指導者から「姿勢がいいですね」と言われることがあるでしょう。
それは、その立ち姿を見ている人がいるということです。もちろん、子どもも見ています。
「姿勢をよくしなさい」と言う前に、自らの姿勢を正すこと。
そして「自分の背が一番高くなる場所を探してごらん。今日が人生で一番背が高い日だよ」
と伝えてみましょう。
きっと、スッと背筋を伸ばす子がたくさん現れます🌱
2.笑顔をつくる
子どもの前では、いつも笑顔を意識しましょう😊
子どもは表情から相手の心を読み取ります。
自分の笑顔は、相手の笑顔を引き出す力を持っています。
子どもたちの反応が鈍い、雰囲気が暗いと感じた時は、まず自分が笑顔でいるかを確かめましょう。
子どもには接する時は、意識的に口角を上げて笑顔をつくりましょう。
割りばしを口にくわえて口角を上げる練習も効果的です。
口角を上げることは気分に好影響を及ぼすことが分かっています。
笑顔をつくることが、気分を明るくする“内面のスイッチ”になります。
子どもの前に立つ時に、いつも笑顔でいるようにしましょう😊
3.目線を合わせる

目線の高さを意識して使い分けましょう。
子どもに接する時は、基本的に目線の高さを合わせる意識を持ちましょう👀
大勢の子どもたちに話をする時には基本的には座らせますが、
そのような時も自分の態勢を低くして、子どもの目線の高さに近づくようにしましょう。
そして、視線が流れないように一人ひとりをきちんと捉えることも意識しましょう。
意識をしないと、全体を見ているだけで、個には目線を合わせていないことがあります。
目線を合わせて2秒間止めるようにするといいでしょう。
一人ひとりに言葉かけをする時にも、目線を合わせてほめたり話したりすることが大切です。
4.集団の中の個を見つける
子どもの集団に接する際、全体を見つつその中から個を見つけることを意識しましょう。
集団の中で良い動きや素晴らしい行動をしている子を見つけ、
皆の前で動きを取り上げたり行動をほめたりすることによって、
より集団全体がまとまってくる場合があります。
また、集団の中で気になる行動をしている子がいる場合、
あえてその子に見本をさせて、うまくいくように導きほめることで、
承認欲求が満たされ、その後、落ち着くなど行動に変容が見られる場合があります✨
そのような積み重ねによって普段の生活態度が変わってくる場合もあり、
特に学校教育の場面で喜ばれることがよくあります。
「体育の授業で決してスポットライトが当たることがなかったあの子が皆の前で良い動きをほめられ、あのような嬉しそうな表情をするのを初めて見ました。自信につながると思います。」
校長先生や担任の先生からそんな嬉しい言葉をいただくこともあります😊
立ち位置に心を配る
運動指導の際、集団に対して指導者がどこに立つかを意識しましょう。
相手の立場に同化するよう感受性を豊かに働かせて考え、
年齢や人数、場所、天候や気温など、相手の状況や周りの環境に応じて立ち位置を使い分けられるようにしましょう。

1.集団との距離を意識する
メイン指導者として集団の前に立つ時、集団の横の距離を2とした場合、
集団から1の距離下がった場所に立ちましょう(2:1の距離)。
そのことによって、常に集団が指導者の左右45度の中に入ることになり、全体の様子が見やすくなります💡
子どもたちには、以下のような声かけが有効です。
✅「先生が広げた腕より前に集合しましょう。」
✅「近すぎるとせっかくのよい姿勢が見えないよ。」
✅「後ろではなく、先生から見える場所に集まろう。」
それでも、特に幼い子どもたちは指導者にくっつくようにして近くに集まりたくなるものです👦
そのような時は、子どもを下げさせるよりは、指導者が一歩後ろに下がってやりましょう。
また、サブの指導者は基本的には集団の横や後ろから全体を見るようにするといいでしょう。
もう一人サブの指導者がいる場合は、出入り口、トイレの位置等を意識した場所に立つようにしましょう。
それぞれの指導者の役割を事前に確認しておき、状況に応じて柔軟に動くことができるようにしましょう。
2.立ち位置を変える
指導中、意図的に立ち位置を変えるようにしましょう。
指導や授業の際、指導者の立ち位置はいつも同じ場所になりがちですが、
それを変えることによって、子どもたちの脳に刺激を与えることになります🧠
説明の際、
✅正面を変える
✅集合場所を変える
✅指導者を囲ませるように集まらせ視点を変える
など環境が変化するように配慮するといいでしょう。
また、学校の体育館などであれば、舞台に上がって立ち位置を変えることによって、
指導者が全体を見やすくなると共に、
子どもは環境が変化し目線を上に動かことにもつながります💡
時には指導の最初の集合場所や整列する場所を変化させてみてもいいでしょう。
3.背景を意識する
子どもたちの前に立つ際、自分の後ろにある背景を意識してその位置を決めましょう。
相手の立場に同化するようにして、俯瞰的に自分の立ち位置を確認してみましょう。
(例)
✅太陽の位置を確認し、相手が眩しくないように配慮する。
✅人が出入りする入口など、子どもたちが気になる場所を背景にしないようにする。
✅使用する用具など、子どもが気になる物が背後に見えないように意識する。

4.天候や気温を意識する
天候や気温、湿度などの環境を考慮して立ち位置や集合させる場所を決めましょう。
同じ体育館の中でも陽の当たり具合や、風通しなどによって、
身体的要素のみならず、快・不快などの精神的要素にも影響があります💡
このような配慮はリスクマネージメントにもつながってきます。
(例)
✅気温が高い時は日陰に、低い時は日向に集まらせる。
✅湿度が高い時は風通しの良い場所に集合させる。
5.その他
・音源の場所や音量を確認し、相手に音が伝わりやすい場所に立つ。
・マイクで話す場合、指導者の位置と音が出る場所に違和感が生じないよう意識する。
・時計の位置を確認し、時間が把握できるような場所に立つ。
・映像や写真を撮る場合、カメラマンとの位置関係を確認する。
まとめ

感受性とは、目に見えない空気を感じ取る力です✨
それは、子どもの小さな変化に気づき、環境の微妙な揺らぎに心を添わせる“感覚の知性”ともいえるでしょう。
指導の場において、感受性は「技術」よりも先に働く力です。
姿勢や笑顔、目線や立ち位置——その一つひとつが、子どもの心にメッセージを送っています💝
だからこそ、まずは自分自身の在り方を整えること。
正しい姿勢、穏やかな表情、柔らかなまなざしが、子どもの安心と集中を引き出します。
感受性とは、優しさだけでなく、状況を読む鋭さでもあります。
風の流れ、光の向き、声の届き方──それらを感じ取って動ける人が、真の「現場力」を持つ指導者です。
感受性を研ぎ澄ますことは、子どもに寄り添う心を磨くこと。
その繊細な感覚が、やがて大きな信頼と学びの土壌を育てていくのです。

