「ドッジボールで的にされてばかり」
「サッカーでボールが来ると逃げてしまう」
「キャッチボールが3球と続かない」
──体育の球技の時間になると、急に元気がなくなるわが子を見て、心配になっていませんか?💦
運動指導者として25年以上、20万人以上の子どもを指導してきた私のもとにも、球技についての相談は本当によく寄せられます。
実は球技が苦手になる原因は、運動神経の良し悪しだけではありません。
こんな悩みありませんか?
- 体育の球技の時間になると表情が曇る
- ボールが飛んでくると怖がって逃げてしまう
- キャッチボールがすぐに終わってしまう
- 「下手なところをみんなに見せたくない」と言う
この記事では、球技が苦手になる本当の原因と、家庭で今日からできる練習のコツ、そして家庭での練習だけでは伸び悩んだ時の選択肢まで、指導現場で見てきた実例を交えて解説します。
読み終わる頃には、お子さんに合った次の一歩がきっと見えてきます。

球技が苦手になる3つの原因
球技が苦手な子どもには、共通して3つの原因が隠れていることが多いです。
① 空間認知力がまだ育っていない
1つ目は「空間認知力」の未発達です。
飛んでくるボールとの距離感や、自分と味方・相手の位置関係をつかむ力のことで、これは生まれつきの才能ではなく、幼児期からの外遊びの経験量で育っていく力です。
② 動体視力とタイミングの経験不足
2つ目は「動体視力とタイミング」です。
ボールという動くものに目の焦点を合わせ続け、手や足を出すタイミングを計る力は、球技特有の感覚です。
野球のキャッチボールやサッカーのリフティングのように、動くものを目で追う経験が少ないと、この感覚は育ちにくいままになります。
③ 「失敗への恐れ」という心の壁
3つ目は「失敗への恐れ」という心の壁です。
球技は失敗が周りに見える競技なので、一度うまくいかない経験をすると、それだけで苦手意識が固定されてしまいます。
一度「怖い」「恥ずかしい」という感情が結びつくと、身体の動きよりも先に心がブレーキをかけてしまうのです。
つまり球技の苦手は、身体の能力そのものよりも「経験不足」と「心のブレーキ」が重なって生まれていることがほとんどです。
裏を返せば、この2つに順番にアプローチすれば、多くの子は着実に変わっていきます。
もう一つ知っておきたいのが、空間認知力が急速に発達する時期です。
3〜6歳ごろに外遊びで距離感やスピード感をたくさん経験した子は、球技に必要な感覚が自然と身についていきます。
逆にこの時期に室内遊びが中心だった子は、小学校に上がってから球技でつまずきやすい傾向があります。
年齢が上がっていても遅すぎることはありませんが、この背景を知っておくと「うちの子だけ特別に苦手」という思い込みが和らぐはずです。
指導現場で見てきた2つの実例
私の教室でも、球技への苦手意識を強く持って入ってくる子は少なくありません。
ある小学2年生の男の子は、体育のドッジボールで毎回すぐに当てられてしまい、「どうせ僕は下手だから」と口癖のように言っていました。
よく話を聞くと、幼児期にボール遊びの経験がほとんどなく、動くボールを目で追うこと自体に慣れていなかったのです。
そこで最初にやったのは、ドッジボールでもキャッチボールでもなく「風船を落とさずに何回続けられるか」という遊びでした。
風船はスピードが遅いので、恐怖心なく目で追う練習ができます。
最初は3回も続けられず床に落としていましたが、3週間ほど毎日5分続けたところ、20回以上続けられるようになり、ボールから逃げる動きが減って、少しずつ「見て動く」感覚がついてきました。
サッカーが苦手だった年長さんの女の子のケースでは、ボールが怖くて近づけないことが一番の壁でした。
この子には、ボールを蹴る前に「ボールの上に足を乗せて止める」練習だけを2週間繰り返してもらいました。
ボールに触れること自体への抵抗がなくなってから蹴る練習に進んだところ、驚くほどスムーズに動けるようになったのです。
苦手な子ほど、いきなり本番の動きをさせるのではなく、一段階手前の「慣れる」ステップを挟むことが近道になります。
家庭でまず取り入れたいのは「怖くないスピードで目で追う練習」です。
いきなり硬いボールでキャッチボールをするのではなく、風船やビニールボールなど、当たっても痛くない道具から始めることで、恐怖心を先に取り除くことができます。
家庭でできる3つの練習
① 風船で「目で追う」練習から
実践のコツ①:風船やビニールボールを使い、「何回続けられるかな」とゲーム感覚で誘う。
うまくできなくても「今のいい目の動きだったね」と、結果ではなく動き自体を褒めることがポイントです。

② 的当てゲームで投げる・蹴るに慣れる
実践のコツ②:「的当てゲーム」で投げる・蹴る動作に慣れる。
段ボール箱やペットボトルを的にして、ボールを投げたり蹴ったりして倒す遊びです。
相手がいないので「失敗を見られる怖さ」がなく、何度失敗しても自分のペースで挑戦できます。
的の数や距離を少しずつ変えるだけで難易度調整もでき、家の中でも庭でも取り組みやすい練習です。
③ キャッチボールは近距離から
実践のコツ③:「キャッチボールの距離」をあえて近くから始める。
つい大人は正式な距離でキャッチボールをさせたくなりますが、苦手意識のある子には2〜3メートルの近距離から始めるのが鉄則です。
成功体験を積み重ねることが、恐怖心を自信に変える一番の近道です。
慣れてきたら1メートルずつ距離を伸ばしていけば、無理なくレベルアップできます。
目安として、2〜3メートルで10球連続キャッチできるようになったら1メートル伸ばす、というように「距離」ではなく「成功回数」を基準にステップアップさせると、子ども自身も自分の成長を数字で実感できます。
失敗が続く時は距離を戻すことをためらわないでください。
後退のように見えても、それが結果的に一番の近道になります。
この3つの練習に共通しているのは「失敗しても安全」「結果より過程を褒める」という環境づくりです。
球技の苦手は運動神経ではなく経験と心理の問題であることが多いからこそ、家庭での関わり方ひとつで大きく変わっていきます。
👉 あわせて読みたい:跳び箱が跳べない子の原因と3ステップ練習法
家庭での練習で伸び悩んだときの選択肢
家庭での練習を続けても、なかなか変化が見えない場合もあります。
その時に検討したい選択肢を、メリット・デメリットも含めて正直に比較してみます。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 家庭での練習 | 費用がかからない・親子の時間になる | 親の負担が大きい・専門知識がないと遠回りになることも |
| チームスポーツ教室 | 友達と楽しめる・費用が比較的安い | 集団の中で苦手な部分が目立ちやすい・個別対応は難しい |
| 個別指導(家庭教師型) | その子の苦手だけに絞って教えてもらえる・人目を気にせず取り組める | 費用がかかる・指導者との相性がある |
すでに集団の中で苦手意識が固まってしまっている子の場合、いきなりチームスポーツ教室に入れると、かえって「できない自分」を意識してしまうことがあります。
そういう場合は、まず個別指導で成功体験を積んでから集団に戻す、という順番が有効です。
私自身、指導の現場では「集団の前に個別で自信をつける」という順番を大事にしています。
自信がついた状態で集団に戻ると、同じ子でも見違えるように動けるようになることが多いからです。
自宅の近くに合う教室がない場合や、まず自宅でマンツーマンから始めたい場合は、オンラインで全国対応している個別指導サービスも選択肢になります。
年齢別・どの練習から始めるか
どの練習から始めればいいか迷った時は、年齢別の目安を参考にしてください。
| 年齢 | 優先したい練習 | ねらい |
|---|---|---|
| 幼児(3〜6歳) | 風船遊び・的当てゲーム | 動くものを目で追う力を育てる |
| 小学校低学年 | 近距離キャッチボール・ボール止め | 成功体験を積み、恐怖心を減らす |
| 小学校高学年 | ルールのある簡易ゲーム | 戦術理解と自信の回復を並行して進める |
高学年になるほど「今さら基本練習は恥ずかしい」という気持ちが出やすいので、風船やボール止めのような基礎練習は、遊びの延長として自然に取り入れるのがコツです。
年齢が上がっているからと基礎を飛ばして本番の動きをさせると、かえって苦手意識を強めてしまうことがあります。
練習を始める前に、今のお子さんがどの段階にいるかを見極めることが、遠回りを防ぐ一番のポイントです。
「ボールが怖い」段階なのか、「動きは分かるが成功体験が少ない」段階なのかで、最初に取り組む練習は変わってきます。
よくある質問
ここまでの内容について、教室でもよく聞かれる質問にお答えします。
Q1. 球技が苦手なのは運動神経が悪いからですか?
A. そうとは限りません。
球技には空間認知力や動体視力など、走る・跳ぶとは別の感覚が必要です。
かけっこは速いのに球技だけ苦手、という子は珍しくありません。
経験を積めば必ず伸びていく力です。
Q2. 何歳から練習を始めればいいですか?
A. 何歳からでも遅すぎることはありません。
ただ、動くものを目で追う感覚は幼児期に育ちやすいので、年長〜小学校低学年のうちに取り組み始めるのがおすすめです。
すでに高学年でも、恐怖心を取り除くところから始めれば十分に変わります。
Q3. 練習しても嫌がる時はどうすればいいですか?
A. 一度球技から離れて、ボールを使わない目の運動から始めるのがおすすめです。
風船を目で追うだけでも効果があります。
「うまくできるかどうか」ではなく「楽しいかどうか」を優先すると、自然と続けやすくなります。
Q4. 親が球技が苦手でも教えられますか?
A. 問題ありません。
ここで紹介した練習は専門的な技術指導ではなく、恐怖心を取り除いて成功体験を積む工夫が中心です。
むしろ親御さんが一緒に楽しむ姿を見せることが、子どもの安心感につながります。
Q5. きょうだいで得意・不得意の差が大きい時はどうすればいいですか?
A. 比較を子どもの前でしないことが最も大切です。
きょうだい間で運動の得意分野が違うのは自然なことです。
苦手な方の子には個別に練習時間を作り、得意な方の子の前では挑戦させないなど、環境を分ける工夫も有効です。

まとめ
- 球技の苦手は運動神経ではなく、経験不足と心のブレーキが原因のことが多い
- まずは怖くないスピード(風船など)で「見て動く」練習から
- 的当てや近距離キャッチボールで成功体験を積み重ねる
- 集団で苦手意識が固まっている場合は、個別指導で自信をつけてから戻す方法も有効
まとめ|球技の苦手は変えられる
球技が苦手なことは、その子の運動能力を決定づけるものではありません。
今日からできる小さな成功体験の積み重ねが、苦手意識を少しずつ塗り替えていきます。
まずは今日、家にある風船やビニールボールで、5分だけ一緒に遊んでみてください。
その5分が、お子さんの「できた」の第一歩になります😊
👉 あわせて読みたい:スポーツ家庭教師ファーストの口コミ・体験談|運動指導者が教える選び方
